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日経平均の計算方法を簡単解説!みなし額面と除数の理解は必須です

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株価の話をする時に必ずと言っていいほど出るのが日経平均ですが、その計算方法は理解しづらくなっています。

中でも馴染みがないのがみなし額面と除数でしょう。

しかしこれらは日経平均の入替にも関わってくる重要な要素ですので、ぜひとも知っておいてほしいですね。

日経平均株価の計算方法

日経平均株価に採用される銘柄は日本を代表する225銘柄です。

採用された225銘柄の株価の平均が、日経平均株価となります。

ただしただ株価を平均しているのではなく、実際は以下のような式で計算されています。

\[
\bf 各構成銘柄の採用株価 =株価×\frac{50(円)}{ みなし額面(円)}\
\]

\[
\bf 日経平均株価 =\frac{構成銘柄の採用株価合計 }{除数}\
\]

まず1つ目の式は、ただ単純に株価を使えばよいのではなく、「みなし額面」で調整した日経平均採用株価を使っていることを表しています。

また2つ目の式は、みなし額面で調整した株価の225銘柄の平均値ではなく、実際は「除数」で調整されていることを意味します。

このように、日経平均の計算にはみなし額面と除数の理解が必須なのです。

日経平均計算の注意点

  • 株価はみなし額面で調整する
  • 単純平均ではなく、除数で調整する

みなし額面とは

みなし額面とは、日経平均株価を算出する時に、株価の水準を調整するために使われる数字です。

全ての銘柄にはみなし額面という数字が振られており、日経平均には額面を50円に調整した株価が使われています。

\[
\bf 日経平均採用株価=株価×\frac{50(円)}{みなし額面(円)}\
\]

例えばファーストリテイリング(9983)の場合はみなし額面が50円ですので、日経平均採用株価は53,270円(2019年3月1日時点)

ソフトバンクグループ(9984)の場合はみなし額面が50/3円のため、日経平均採用株価は31,275円(=\(10,425円×\frac{50円}{50/3円}\))が使われます。(2019年3月1日時点)

ちなみにソフトバンクグループのみなし額面が中途半端な数字になっている理由は株式分割が原因で50円から変更されており、後で詳しくご紹介いたします。

みなし額面で株価が調整される理由

かなり話がさかのぼりますが、2001年以前は株には額面というものがありました。

当時は20円、50円、500円、50,000円の4種類の額面があり、株が額面で発行されていました。

これはすなわち投資家が50円額面の株なら1株50円で、50,000円額面の株なら1株50,000円で購入していたことを意味します。

仮に50円額面で1000株発行する企業Aと50,000円額面で1株発行する企業Bがあった場合、両社は時価総額が50,000円で同じとなりますが、最初の株価は企業Aが50円、企業Bが50,000円で1000倍違ってしまいます。

この場合、企業Aの時価総額が2倍に成長しても株価は100円ですが、企業Bの時価総額が2倍に成長すると100,000円となり、最初の額面によってその後の株価の水準も大きく変わってしまうのです。

日経平均は株価を平均する指数ですが、額面の違う株価を単純に平均してしまうと不都合が起こります。

例えば企業Aと企業Bの2つの企業だけで平均株価を計算すると、25,025円となってしまいます。

ここから仮に企業Aの株価が2倍の100円となったとしても、日経平均は25,050円と雀の涙ほどしか変化しません。

実際には企業Aの時価総額は2倍の100,000円となっているにもかかわらずです。

そこで、日経平均算出においては株価を額面で調整するというルールがありました。

つまりすべての株価は50円額面に調整します。

すると企業Aの株価は50円、企業Bの株価も50円(=50,000円(株価)×50円/50,000円(額面調整))となり、日経平均株価は50円となります。

この状態で企業Aの株価が2倍になった場合は日経平均株価が75円となり、きちんと企業Aの成長を反映できています。

その後、2001年の商法改正によって額面制度はなくなり、現在新たに発行される株は額面なしの無額面株式となっています。

ただ、日経平均は額面制度があったはるか昔から算出していたため、連続性を維持するために、額面制度がなくなった今でも独自に額面による調整を行っています。

そしてこの調整で使われる額面がみなし額面となります。

額面があった時代に発行された株の場合は基本的には当時の額面がみなし額面として使われています。

一方、無額面株式の場合は日経新聞社が独自にそれっぽいみなし額面を設定しています。

みなし額面の変更

みなし額面は実は変更されることがあります。

それは株式分割や株式併合が行われた場合です。

例えば1:2の株式分割が行われた場合、株価は1/2となってしまいますし、逆に2:1の株式併合が行われた場合は株価が2倍となります。

そのため、日経平均の連続性を保つため、みなし額面を調整することで日経平均算出に使う株価を一定に保つのです。

具体的に、例えば額面50,000円、株価が200,000円の企業で考えましょう。

この場合、額面を考慮した日経平均採用株価は200円(=\(200,000円×\frac{50円}{50,000円}\))となります。

この企業が1:1000の株式分割を行った場合、株価は理論的には200円となります。

仮に額面をそのままにした場合、日経平均採用株価は0.2円(=\(200円×\frac{50円}{50,000円}\))となります。

分割前まで200円で計算していたものを分割後に急に0.2円にしてしまうとさすがに日経平均の連続性もなくなりますし、おかしいでしょう。

そのため、みなし額面も50円(50,000円(元のみなし額面)÷1000株(分割後の株数))にします。

そうすると、日経平均採用株価は分割前と変わらず200円となり、日経平均の連続性も保たれます。

株式分割等でもみなし額面が変更されない場合

これまたややこしい話ですが、株式分割が行われてもみなし額面が変更されない例外があります。

それは株式分割でも1:1.1のような株価への影響が小さい場合です。

過去には野村総研(4307)の株式分割や、キーエンス(6861)の株式分割がそれぞれ1:1.1の株式分割を行っており、除数の変更による対応を行っています。

ちなみに除数に関してはこの後にご紹介しています。

除数とは

日経平均を算出する上でもう一つ重要なのが除数です。

日経平均は日経平均採用株価の合計を除数で割ることで算出されます。

日経平均の算出が始まった当初は採用株価の合計を225で割っていればよかったのですが、銘柄の入れ替え等があると除数がそのままでは問題が発生します。

それは、日経平均に連続性がなくなってしまうのです。

そのため、銘柄の入れ替えや株価に影響の少ない株式分割が行われた場合は除数を調整し、日経平均の連続性を維持します。

ちなみに除数の調整方法は以下となります。

\[
\bf 翌日の除数=当日の除数×\frac{翌日構成銘柄の翌日の基準価格合計}{当日構成銘柄の当日の基準価格合計}\
\]

これだけ見てもよくわからないと思いますので、簡単な例で考えてみましょう。

例えば日経平均採用株価が1,000円の銘柄A、500円の銘柄B、300円の銘柄Cがあったとします。

この場合、日経平均採用株価の合計は1,800円となり、3銘柄であるため除数は3となり、日経平均は600円(=1,800円/3(除数))となります。

さて、ここで銘柄Cが日経平均採用株価が900円の銘柄Dに入れ替わったとします。

もし何も調整しなかった場合、日経平均は800円(=2,400円/3(除数))となります。

入れ替え前に600円だった日経平均が、入れ替え後には800円と、1日で急に200円も上がってしまうことになります。

このように日経平均が連続的ではなくなってしまうことを避けるため、除数の調整を行うのです。

この場合ですと除数は4となります。

\[
\bf 4(新しい除数)=3(古い除数)×\frac{2,400円}{1,800円}\
\]

除数の調整を行うことで、入れ替え後の日経平均も600円(=\(\frac{2,400円}{4(除数)}\)となり、日経平均の連続性が保たれるのです。

値がさ株とみなし額面

日経平均に採用される銘柄は日本を代表する225銘柄です。

しかし、この基準を満たしていてもなかなか採用されない銘柄があります。

それはいわゆる値がさ株と呼ばれる銘柄です。

値がさ株とは1株50,000円といった、単純に株価が高い銘柄のことを指します。

そして日経平均は株価の単純平均であるため値がさ株、もっといえば額面で調整した日経平均採用株価の高い銘柄の影響を受けやすい、という特徴があります。

現在日経平均に採用されている値がさ株の代表的なものとしてはファーストリテイリング(構成比率:9.13%)、ソフトバンクグループ(構成比率5.36%)、ファナック(構成比率:3.22)があげられます。

この上位3銘柄で日経平均の構成比率は17.7%も占めています。

単純に全銘柄が均等であれば構成比率は0.44%なのですから、上位3銘柄の構成比率が異常に高いことがわかると思います。

値がさ株の何が問題なのかというと、例えばほとんどの銘柄の株価が下落したとしても、ファーストリテイリングだけが値上がりすれば日経平均は上がる可能性があり、市場を正しく反映できていない恐れがあるのです。

これは日経平均が批判される際によく持ち出される問題です。

そのため、日経新聞社も日経平均にこれ以上値がさ株を増やしたくないという思惑があり、任天堂のような、どう考えても日本を代表するような銘柄でも日経平均に組み入れられていません。

また、2019年3月のパイオニア上場廃止に伴う日経平均の入れ替え予想で名前を挙げられる村田製作所も実は値がさ株です。

そのため、実力的には他の候補銘柄と比べても村田製作所が妥当なのですが、値がさ株であるという点だけで日経平均の採用が見送られる可能性が十分にあるのです。

値がさ株は株式分割しても値がさ株のまま?

村田製作所は2019年3月末に株式分割を予定しています。

しかし、これによって株価が1/3になったとしてもみなし額面も1/3になる可能性が高く、結局は日経平均採用株価は変わらないでしょう。

つまり株式分割が行われても通常の取り扱いであれば日経平均における値がさ株は値がさ株のままなのです。

つまり、値がさ株が日経平均に採用されるためには、みなし額面が設定される前に株式分割等を行って株価水準を下げなければいけないと思われます。

ではいつみなし額面が設定されるのかというと、2001年以降に発行された無額面株式の場合は日経500に採用された時でしょう。

マイナーですが、実は日経500という指数もあり、この指数もみなし額面を使っているのです。

また、1:1.1の株式分割のような小幅な分割では除数の変更で対応される可能性が高いため、このような分割を何度も繰り返していけば、値がさ株もいずれは値がさ株ではなくなるかもしれませんね。

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