投資初心者向け

浮動株比率とは?調べ方や投資への使い方、ETFへの影響までわかりやすく解説!

更新日:

浮動株比率についてきちんと説明できますか?

最近は日銀のETF買いによってファーストリテイリングの浮動株が減ってきて、そのことが市場を歪めているといった批判もあり、浮動株という言葉を聞くととは少なくないと思います。

また、株のトレードでも使える指標ですので、知っておいて損はないでしょう。

浮動株比率とは

浮動株比率とは企業が発行している株のうち、市場に流通している株がどれくらいかという指標です。

以下のような計算式で計算されます。

\begin{eqnarray}
\bf 浮動株比率 &=&\frac{浮動株数}{上場株式数}\\
&=&1-\frac{固定株数}{上場株式数}
\end{eqnarray}

ここで固定株や浮動株について簡単に説明します。

まず、市場で売買される可能性が低い株を固定株と呼ばれています。

逆に固定株以外の市場で売買される可能性の高い株は浮動株と呼ばれています。

では売買されにくい株、売買されやすい株とはいったいどういうことでしょうか?

例えば会社の創業者やその親族の保有する株、株の持ち合い等のいわゆる政策保有株、親会社やその他の出資による支配関係のための株といったものは、株価が上がったからと言って簡単に売られたりはしません。

なぜならそういった株は短期的な値上がりによる利益目的ではなく、会社の支配やビジネス上の関係といったある程度長期的な目的で保有されているからです。

こういった理由で、上場している株の全てが市場に流通しているわけではありません。

では浮動株比率が高いとはどういうことでしょうか?

浮動株比率が高いと、市場に出回っている株数が相対的に多いということであるため、自分の売買で株価が動く可能性が低いということを意味します。

また、特定の株主の利益のために企業が運営される可能性も低いでしょう。

逆に浮動株比率が低いと、市場に出回っている株数が相対的に少ないため、売ろうと思っても買いが少なくて、自分の売りで株価を下げてしまう可能性があります。

さらに少数の株主で会社を支配している可能性があるため、個人投資家には運営が不利になるかもしれません。

またこういった特性があるため、浮動株比率の低い株は仕手に狙われる可能性もあり、注意しておいたほうがいいかもしれません。

一般的には浮動株は東証が算出しているものと、四季報に記載されているものの2種類があります。

東証が算出している浮動株比率はTOPIXの算出に使われているため、インデックスのリバランスによるトレードで使用されます。

四季報に記載の浮動株比率は東証よりもより詳しく計算されている印象です。

また、この2つは基本的な考え方は同じなのですが、細かい計算が違うため、それぞれの浮動株比率は結構違っていたりします。

東証の算出する浮動株比率

東証が算出する浮動株比率はまず固定株数を推定し、それ以外を浮動株とみなします。

東証による固定株の条件は以下のようになっています。

東証による固定株の定義

・大株主上位 10 位の保有株、自己株式等(相互保有株式 (会社法 308 条 1 項により議決権の制限を受けている株式)を含む)、役員等の保有株、その他東証が適当とみなす事例(長期的又は固定的所有とみられる株式等)

・ ただし、「大株主上位 10 位の保有株」であっても、東証が浮動株とみなすことが適当であると判断した場合にはこの限りではない。

 東証「浮動株比率の算定方法」より

その後、以下の式から浮動株比率を計算します。

\begin{eqnarray}
\bf 浮動株比率 &=&1-\frac{固定株数}{指数用上場株式数}
\end{eqnarray}

ただ東証の浮動株比率は5%刻みとなっており、例えば上の式で浮動株比率が16.7%と計算された場合は、切り上げて浮動株比率は20%となります。

ちなみに後で詳しく書きますが、ETFの組み入れ銘柄も固定株に入ることが多いようです。

四季報の算出する浮動株比率

四季報の算出する浮動株比率は東証とは逆で、浮動株数を直接集計してそこから浮動株比率を計算します。

四季報による浮動株の条件は以下となっております。

四季報による浮動株の定義

1単元以上50単元未満の株主の株式保有数持株の合計

要するに少数の株しか持っていない人の株は浮動株とみなすという意味です。 

その後、以下の式から浮動株比率を計算します。

\begin{eqnarray}
\bf 浮動株比率 &=&\frac{浮動株数}{発行済株式数}
\end{eqnarray}

四季報の方が浮動株比率が小さくなる傾向です。

これは東証が上位10位までの株主の持ち分を固定株とカウントしますが、四季報では上位10位以下の株主の持ち分も固定株とすることが多いためです。

浮動株比率の調べ方

東証による浮動株比率と四季報による浮動株比率、それぞれの調べ方をまとめました。

東証の浮動株比率の調べ方

東証の浮動株比率は確か昔は公表されていましたが、今は有料サービスとなっています。

BloombergやQuickでは取得可能だったと思いますが、ここでは自分で調べる方法を書きます。

まず、東証のTOPIX(東証株価指数)のページにアクセスし、構成銘柄ウエイト一覧のエクセルを確認します。

また、もう1つ基準時価総額・銘柄数から、構成銘柄ウエイト一覧と同じ月のエクセルを取得します。

上の場合、構成銘柄ウエイト一覧は12月末現在となっておりますので、基準時価総額も12月末現在のものを取得します。

例えば極洋(1301)の浮動株比率について計算してみましょう。

構成銘柄ウエイト一覧のエクセルはE列に指数構成ウエイトが載っており、極洋の場合は0.006%となっています。

次に、東証の基準時価総額・銘柄数よりTOPIXの指数用時価総額を調べます。

2018年12月末時点では340,405,077,802,846円です。

よって、これらを掛け合わせることで、極洋の指数構成用時価総額が計算でき、20,424,304,668円であることがわかりました。

\begin{eqnarray}
\bf 20,424,304,668円 &=&340,405,077,802,846円×0.006%
\end{eqnarray}

最後に、指数構成用時価総額を上場時価総額で割ることで、東証の浮動株比率が計算できます。

2018年12月末時点の極洋の株価の終値は2,882円で、発行済株式数は10,928,283株であったため、浮動株比率は64.85%と計算できました。

\begin{eqnarray}
\bf 64.85% &=&\frac{20,424,304,668円}{2,882円×10,928,283株}
\end{eqnarray}

なお、実際の浮動株比率は5%刻みであることから、恐らく65%と想定されます。

なお、この誤差はTOPIXの構成比率の0.006%の有効数字の問題な気がします。

四季報の浮動株比率の調べ方

四季報の浮動株比率に関しては、四季報に載っています。

各ページの株主の欄を見ますと<浮動株>という欄に浮動株比率が記載されています。

また、<特定株>という欄もありますが、こちらは要は固定株のことです。

他にも、出来高は投資家の総意というサイトで検索できるようです。

ちなみに極洋の浮動株比率は44.8%でした。

やはり、四季報の浮動株比率の方が低くなっていました。 

浮動株比率は投資に使えるのか?

まずイベントトレードとして、TOPIXの浮動株比率変更によるパッシブファンドの売買インパクトが挙げられます。

具体的には、浮動株比率の変更によってTOPIXの構成比率が変わると、TOPIXをベンチマークとしているパッシブファンドは組み入れ銘柄の比率を変更しなければなりません。

さらに、銘柄の比率の変更はTOPIXの構成比率が変わる月内最終営業日の前営業日に行われることが多く、1日で大きな買いや売りが発生することを意味します。

特に出来高が小さい銘柄には大きな売買インパクトがあるでしょう。

実際、証券会社も浮動株比率変更が発表された日に「7月TOPIX浮動株比率変更予想、推定インパクト上位はすかいらーくなど=SMBC日興証」といった内容の予想を発表することも多いのです。

もちろん、東証からの浮動株比率の変更の発表前から独自に予想をして、あらかじめ仕込んでいる投資家もいると思いますので、こういったトレードをする方は早めに動かなければなりません。

また他には、最初にも書きましたが浮動株比率が低く、さらに売買高も小さい銘柄はちょっとした売りや買いで株価が大きく変動するリスクがあり、仕手に狙われることもあるので注意したほうがいいでしょう。

日銀のETF買い入れとファーストリテイリング(9983)

最後に、ファーストリテイリング等、一部の株がETFによって買いつくされる論がありますが、これはそうそう起こらないのではないかと思います。

理由は、ETFの買い入れによって浮動株比率が低下するからです。

先ほども書きましたが、ETFの組み入れ銘柄も固定株に入ることが多いです。

例えばファーストリテイリングの2018年8月期の有価証券報告書を見ていただくと、大株主の欄は以下のようになっています。

そして、注意書きにマスタートラスト信託銀行等の信託銀行の持ち株数は信託業務によるものだと書かれております。

これは主にETFの再委託先となっているのでしょうけど、こういった注意書きがあることで東証は浮動株とみなしているのだと思います。

浮動株とみなす可能性のあるもの

以下のいずれかの条件を満たし、東証が浮動株とみなすことが適当であると判断した場合
・ 有価証券報告書に信託種類、保有目的等が明記されているもの
・ 不特定多数の保有株式を一元管理していることが明らかなもの
・ 顧客の信用取引のための保有であることが明らかなもの

実際、有価証券報告書から想定されるファーストリテイリングの浮動株比率は20%で、自分で調べた結果も2018年12月現在で20%となり一致していることからもほとんど間違いないでしょう。

つまり、日銀が買い入れたETFに組み入れられているファーストリテイリング株は固定株となり、日銀がETFを買い進めるにつれ、ファーストリテイリングの浮動株比率は低下することを意味します。

浮動株比率が低下すると、TOPIXの構成比率も低下するため、ETFをはじめとするパッシブファンドも構成比率を下げ、ファーストリテイリング株を売りに出すことになるのです。

もちろん日経平均型のパッシブファンドでは浮動株比率は関係ないのですが、最近はTOPIX型のETFの買いが圧倒的に多いので、影響は大きくないかと思います。

-投資初心者向け
-, ,

Copyright© お金のライブラリー , 2019 All Rights Reserved.