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株主資本コストとは!計算方法もわかりやすく解説

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株主資本コストは、株価モデルやNPV等の計算では当然のことのように出てきます。

また伊藤レポートが話題になったときなんかは、「株主資本コストを超えるROEがなければ企業は価値破壊している!」といった主張もよく聞いたと思います。

一方で、株主資本コストは目に見えないため、いまいちピンとこないものです。

今回はそんな株主資本コストについてわかりやすく解説しました。

 

株主資本コストとは

株主資本コストとは、企業が株主から出資されている資本、つまり株主資本に対するコストです。

 

そもそも企業の資本の調達方法には2種類、①株式の発行による株主資本と、②有利子負債によるものがあります。

それぞれの資本は善意で企業に投資されているわけではなく、投資家は当然見返りを期待しているでしょうし、もし見返りがなければ投資をやめるでしょう。

つまり、資本を投資してもらうためには見返りを投資家に支払わなければならず、これが資本のコストとなるのです。

 

有利子負債は利子という形で企業から投資家(債権者)に還元され、この利子が有利子負債のコストとなります。

では株主は企業からどのように還元されるのかというと、これまた2種類あり、❶配当金と、❷株が値上がりすることによる値上がり益となります。

この2つの合計で企業から株主に還元されますので、この合計が株主資本コストとなります。

 

ただし、❶配当金は1株いくらという感じで目に見えますが、❷値上がり益は目に見えないため、結局株主資本コストがいくらなのかをはっきりと知ることはできません。

そのため、株主資本コストは予想しなければなりません。

ではどうやって予想するのかというと考え方はシンプルで、投資家が企業に求めている還元の大きさをそのまま株主資本コストとします。

言い換えれば、株主が株式に期待する期待リターンを株主資本コストと考えます。

 

株主資本コストの計算方法

株主資本コストの計算方法はいくつかあります。

代表的なものは以下です。

  1. CAPM
  2. 配当割引モデル
  3. 投資家からのヒアリング

 

CAPM

CAPMに関しては別の記事で詳しく書きました。

CAPMとは!計算方法やベータとの関係をわかりやすく解説!

今回は株主資本コストやWACCの計算でよく使われているCAPMについて解説しました。 計算式に値を入れて使うだけてもいいと思いますが、ベータやCAPM自体の意味を理解していればより使いやすくなるでしょ ...

続きを見る

 

簡単に説明するとCAPMは、株主資本コストが市場リスクをどれだけとっているかという個別株のリスクの大きさと、リスクフリーレートのみによって決まるというものです。

具体的にCAPMを使うと株主資本コストは、以下のように表されます。

 

\[
\bf R_{E,i} =R_f+ β_i(R_M-R_f)\
\]

\begin{eqnarray}
R_{E,i}&:&銘柄iの株主資本コスト(銘柄iの期待リターン) \\
R_f&:&リスクフリーレート \\
R_M&:&市場リターン\\
β_i&:&銘柄iのベータ
\end{eqnarray}

 

市場リターンからリスクフリーレートを引いた市場リスクプレミアムは、市場リスクを取った対価のリターンを表しています。

また、βはどれだけ市場リスクをとっているかを意味します。

これを掛け合わせることで、取った市場リスクの大きさに比例してリスクプレミアム、つまりリターンが期待できる、という構図になります。

 

CAPMを使う時の注意点

CAPMの計算は、基本的に過去のデータを使用しています。

つまり、過去の資本コストがこれくらいだったから、今の資本コストもこれくらいだろう、といった考え方です。

しかし、データの期間によってその値も大きく変わってしまうというデメリットがあります。

 

そのため、どの期間のデータを使うのか、ということが重要です。

極端な話、過去100年間のデータを使ってCAPMで株主資本コストを推計することもできます。

ただ、100年前と今だとビジネスモデルが変わっている企業も多いでしょう。

そんな中、はたして当時のデータで現在の株主資本コストを推定するというのは良いのか、疑問が残るところです。

 

配当割引モデル

配当割引モデルからの逆算という方法もあります。

配当割引モデルは、将来にわたって得られる配当の現在価値の合計が理論的な株価となる、という考え方です。

 

しかし現実的には理論価格がいくらであれ、株式には株価がついています。

そこで、将来の配当を予想することで、株価から割引率を逆算できます。

この割引率こそがまさに株主資本コストとなっているのです。

 

ちなみに配当割引モデルの式は以下のようになっています。

 

\begin{eqnarray}
\bf P&=&\frac{D_1}{(1+r)}+\frac{D_2}{{(1+r)}^2}+\frac{D_3}{{(1+r)}^3}+…+\frac{D_n}{{(1+r)}^n}+…\\
&=&\frac{D}{(r-g)}(成長率が一定の場合)\\
\\
⇒r&=&\frac{D}{P}+g
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}
P&:&株価 \\
D_n&:&n期の配当 \\
g&:&配当成長率\\
r&:&割引率(株主資本コスト)
\end{eqnarray}

 

配当の成長率が一定の場合を考えると、シンプルに\(\frac{D}{(r+g)}\)と表すことができます。

 

配当割引モデルを使う時の注意点

割引配当モデルから逆算する場合、将来の配当を予想する必要があります。

しかし、予想には当然ぶれがあり、それよって推計した株主資本コストも大きく変わってしまう可能性があることがデメリットです。

 

投資家からのヒアリング

株主資本コストってそもそも株主が株に期待するリターンなんですから、投資家に聞いてしまえば良いというのがこの方法です。

一番手っ取り早い方法だと思います。

 

ただし、投資家からのヒアリングには大きな問題点があります。

通常、上場会社というのは株主が何千人もいます。

その一人一人に期待リターンを聞くというのは現実的ではないでしょう。

ただ、大株主や機関投資家の資本コストを聞くだけでも意味はあると思います。

 

ちなみに伊藤レポートでのアンケート結果によると、日本の機関投資家の想定する株主資本コストは平均6.3%、海外の機関投資家は平均7.2%らしいです。

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