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CAPMとは!計算方法やベータとの関係をわかりやすく解説!

更新日:

今回は株主資本コストWACCの計算でよく使われているCAPMについて解説しました。

計算式に値を入れて使うだけてもいいと思いますが、ベータやCAPM自体の意味を理解していればより使いやすくなるでしょう。

ちなみにWACCの計算は別の記事で詳しく解説しています。

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CAPMとは

CAPM(Capital Asset Pricing Model:資本資産評価モデル)はファクターモデルの1つで、主に株式の期待リターン、つまり株主資本コストを計算する時に使われます。

 

そもそもですが、ファクターモデルとは、資産のリターンを少数のファクター(要因)で説明するモデルです。

CAPMの場合ですと、資産のリターンは市場リスクファクターのみで説明されるというモデルとなります。

ちなみにCAPMの意味に関してはこの後で詳しく解説しています。

 

1960年代に発表されたCAPMのファクターは、市場リスクファクター1つだけでした。

その後はCAPMに新たなファクターを追加した、マルチファクターモデルと呼ばれるモデルが開発されました。

そして1993年には有名なFama-Frenchの3ファクターモデルが発表されています。

このように、CAPMは最初のファクターモデルであり、ファクターモデルの基本と言えるでしょう。

 

CAPMの発展以前は資産のリスクは、資産価格のボラティリティで、アセットクラス内でも個別のものであると考えられていました。

しかしCAPMはアセットクラスに共通のリスクファクター(システマティックリスク)という考え方を取り入れた点で画期的なものでした。

 

CAPMでは資産の理論上の期待リターンを計算可能です。

また、期待リターンは裏を返せば投資家が要求するリターンでもあり、株の場合は株主資本コストとも言えます。

そのため、CAPMは株主資本コストや、それを用いたWACCを計算する際によく使われています。

 

CAPMの計算式

CAPMの計算式は以下のようになります。

なお、CAPMは資産価格モデルといいつつ、株式で考えることがほとんど、というかそれ以外見たことがありません。

そのため、株式の場合で書いています。

\[
\bf R_{E,i} =R_f+ β_i(R_M-R_f)\
\]

\begin{eqnarray}
R_{E,i}&:&銘柄iの株主資本コスト(銘柄iのの期待リターン) \\
R_f&:&リスクフリーレート \\
R_M&:&市場リターン\\
β_i&:&銘柄iのベータ
\end{eqnarray}

 

実際に日本の株式で計算する際は、\( R_f:リスクフリーレート\)は10年物の国債(Bloomberg等から取得可能)がよく使われます。

また、\( R_M:市場リターン\)はTOPIX配当込みリターン(わたしのインデックス等、もしくは5~6%とする)が使われることが多いです。

ベータはに関してはもう少し詳しくご説明しますが、計算が面倒なのでこちらのサイト等から取得していただければと思います。

 

もし、実務できちんとしたデータが必要な場合は、市場リターンはイボットソン社のデータを、ベータは東証のデータを購入すればいいのではないでしょうか

 

CAPMのベータ(β)とは

ベータとは市場リターンに対する、個別銘柄のリターンの感応度です。

市場リターンの変化に対して、どのくらいその銘柄のリターンに変化があったのかというイメージです。

 

日本株で考えると、例えばTOPIXが10%上がっている場合を考えます。

銘柄Aのリターンが5%であった場合、銘柄Aのベータは0.5となります。

また、同じ状況で10%リターンが得られた銘柄Bのベータは1.0となります。

さらに、20%のリターンが得られた銘柄Cのベータは2.0となります。

 月次リターンベータ
銘柄A5%0.5
銘柄B10%1.0
銘柄C20%2.0
TOPIX10%-

 

このように、市場(TOPIX)との連動性が低いときにはベータは低く、高ければベータも高くなります。

 

また、ベータは数学的には以下のように市場ポートフォリオと個別銘柄の共分散を、市場ポートフォリオの標準偏差で割ることで計算できます。

 

\[
\bf β =\frac{Cov(R_M,R_i)}{ σ_M^2}\
\]
\begin{eqnarray}
Cov(R_M,R_i)&:& 市場ポートフォリオと個別銘柄の共分散\\
σ_M&:&市場ポートフォリオの標準偏差
\end{eqnarray}

 

ただ、こういう式は証券アナリスト試験くらいでしか出てこないので、そんなもんか、と読み流してもらえればと思います。

 

CAPMの具体的な計算

具体的にCAPMを用いて株主資本コストを計算してみましょう。

トヨタ自動車(7203)の例で計算します。

 

各種サイトから以下の値を取得しました。

\( R_f\):リスクフリーレート(10年物国債の利回り)=0.1%
(2018年10月27日現在、Bloombergから取得)

\( R_M\):市場リターン(TOPIX配当込みリターン)=7.5%
(2018年9月末時点、わたしのインデックスより過去10年平均リターンを使用)

\( β\):ベータ=1.251
(2018年9月末時点、ベーター値一覧(トヨタ自動車)よりTOPIX36ヶ月間ベーター値)

 

さて、上記の値をCAPMの計算式に代入すると、トヨタ自動車(7203)の株主資本コストは9.4%となります。

\begin{eqnarray}
\bf R_{E,i} &=&R_f+ β_i(R_M-R_f)\\
&=&0.1+1.251(7.5-0.1)\\
&=&9.3574
\end{eqnarray}

 

ちなみに9.4%というのは、私の感覚的には少し高い印象です。

ではなぜ高いのかを考えると、市場リターンが7.5%と少し高めだからだと思います。

そこで別の方法を考えると、10年平均リターンではなく、もう少し長期のリターンを使うというものがあります。

ただもっとシンプルな方法として、市場リターンに5.0%を使うというのもありかと。

 

仮に市場リターンを5%とすると、トヨタ自動車(7203)の株主資本コストは6.2%と計算され、まあそんなもんか、という印象です。

 

\begin{eqnarray}
\bf R_{E,i} &=&R_f+ β_i(R_M-R_f)\\
\bf &=&0.1+1.251(5.-0.1)\\
\bf &=&6.2299
\end{eqnarray}

 

ちなみに、市場リターンを5.0%とする根拠は、過去60年程度の日本株の平均年率リターンが5.0~6.0%程度であり、またトヨタ自動車は大型株であるため、そのレンジで低めの5.0%と設定しました。

 

CAPMの意味

ここではCAPMの意味について、もう少し詳しく解説します。

 

そもそもですが、CAPMを初めとする多くの資産価格モデルは前提として、リスクに対してリターンが得られるという考えがあります。

少ししかリスクを負わなければリターンは少なくなり、逆に大きくリスクを負えばリターンも大きくなるという考え方です。

このリスクを「リスクファクター(リスク要因)」、リスクを負った対価として得られるリターンを「リスクプレミアム」とも言います。

また、リスクをどれだけ負っているかという指標は「ファクターエクスポージャ」と呼ばれています。

 

ではCAPMにおけるリスクの要因とは何かというと、市場リスクファクターで、\( R_M-R_f\)です。

そして\( β\)こそがファクターエクスポージャであり、どれだけ市場リスクファクターによるリスクを負っているのかという指標となります。

 

\( β\)が大きいと言うことは、市場リスクファクターによるリスクが大きいということです。

逆に\( β\)が小さければ、市場リスクファクターによるリスクは小さいと言えるでしょう。

 

そのため、CAPMは以下のように書き換えられます。

\begin{eqnarray}
\bf R_{E,i} &=&R_f+ β_i(R_M-R_f)\\
\\
\bf R_{E,i} -R_f&=& β_i(R_M-R_f)\\
\\
\bf 個別株式リスクプレミアム&=&ファクターエクスポージャ×市場リスクプレミアム
\end{eqnarray}

 

リスクととることで得られるリターン(市場リスクプレミアム)とどれだけリスクをとるか(ファクターエクスポージャの大きさ)だけが個別株式リスクプレミアムを決めている、というシンプルな考え方となっていることが確認できます。

 

CAPMの注意点

CAPMは実は正しくないということが実証されています。

直感的にも、リスク要因が市場ファクターだけというのは違和感を感じるでしょう。

にも関わらず、株主資本コストの推計では多くの場合、CAPMが使われています。

 

これはやはりCAPMがベータと市場リスクプレミアムだけで計算でき、シンプルだからでしょう。

別にFama-Frenchの5ファクターモデルやら、Charharttの4ファクターモデルといったややこしくて難しそうなものを使ってもいいとは思います。

ただ、苦労して計算することに見合った結果が得られるとは思えませんので、とりあえずCAPMを使っておけばいいかと。

 

また、CAPMはとりあえず使っている程度のもので、あくまで目安です。

そのため、「CAPMで計算すると株主資本コストは何%だから絶対に○○だ!」みたいに盲信することはお勧めしません。

株主資本コストやWACCの計算で感覚的におかしな結果が出た場合は、CAPMによる株主資本コストの計算が現実的でない数値となっている可能性があります。

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